5と2
先日のSuper GT Rd-2富士でCanon 1D-X Mk-2とNikon D5を借り出して撮り比べをする機会に恵まれました。
Nikon D5 AF-S NIKKOR 400mm f2.8E FL ED VR
Canon 1D-X Mk-2 EF400mm f2.8 Ⅱ USM
Nikon D5はXQDカード、Canon 1D-X Mk-2はCFastという、新世代のカードを使う。どちらも値下がりしたが、CFastの方はもうひと越え値下がりを期待している。
とりあえず興味があるのは動体予測AF。それぞれのAF設定は
Canon 1D-X Mk-2 :Case1汎用性の高い基本的な設定。AiサーボAF1コマ目レリーズ→バランス重視、AiサーボAF連続撮影中レリーズ→バランス重視。測距点5点。
Nikon D5 :AF-Cモード時の優先→フォーカス。AFロックオン→標準。測距点25点。
100%切り出し
測距点を同時記録のCR2からDPP4で表示
100%切り出し
測距点を同時記録のCR2からDPP4で表示
100%切り出し
測距点を同時記録のNEFからCapture NX-Dで表示
100%切り出し
測距点を同時記録のNEFからCapture NX-Dで表示
1/800 f7.1 ISO100 sRGB(Canon Nikonとも撮影データーは共通)
私の使った限りではAFの性能に関してはどちらも甲乙つけがたいと思います。測距点が揃わないのは私のせいです。似た様な所を狙ったつもりでしたが、こういう結果になってしまいました。まあ、その辺りを狙ってます、って事でご勘弁下さい。
カメラで生成されるJpeg画像を見る限り、シャドウの「つぶれ」やハイライトの「飛び」など、感度を極端に上げたりしていないのでCanon 1D-X Mk-2、Nikon D5ともにほとんど差はみられません。
…って、当たり前か。
今回はカメラで生成されるJpegで比較していますが、色味についてはそれぞれあてこんだピクチャースタイル(Nikonではピクチャーコントロール)によって両メーカーのJpegは色相にけっこう違いが出ます。このあたりは以前、D3Sと1D Mk-4の時に少し触れていますが、1D-X Mk-2とD5でも似た様な傾向が感じられます。
お互いのメーカーが「スタンダード」としているところで比べています。
1/640 f7.1 ISO400 sRGB(Canon、Nikonとも撮影データーは共通)
この画像では赤はCanon 1D-X Mk-2の方が彩度が高く見えます。Canon 1D-X Mk-2 に比べると NikonD5は赤が朱っぽく見えます。
グレー部分はNikon D5の方が締まって見えるが、シャドウ部分はCanon 1D-X Mk-2の方が締まって見えます。
1/640 f7.1 ISO400 sRGB(Canon 、Nikonとも撮影データーは共通)
この画像では青はNikon D5の方が彩度が高く見えます。Canon 1D-X Mk-2の方はコントラストが低くグレーっぽく見えます。
…カメラの設定したAWBの設定値がそれぞれわずかに違うようで、路面の色味も若干違います。AWBという点でこの2枚を比較して言えばNikon D5の方が好きかなあ?Canon 1D-X Mk-2の方は路面がアンバーっぽく見えますが、Nikonは青っぽいとも言えます。
色相以外にはNikonは「シャープネス」なのに対してCanonは「アンシャープマスク」なので、ヘッドランプまわりや「IMPUL」などロゴのエッジの立ち方に違いが出て来ますね(ピント位置や被写体ブレなども多少あるが)。
新聞社などJpeg撮って出しのニーズが多いNikonの方がシャープネスやコントラストなど、もっとカリカリにしているかと思いきや、Canonの「アンシャープマスク」のほうが細かな高周波成分(ヘッドランプ周りなどで顕著)ではトゲトゲしいくらいにかかっている。こういうの個人的には好きじゃないなあ。私はRawから現像する場合、必ず「シャープネス」で現像するようにしています。Canonはカメラではシャープネスを選ぶ事が出来ないので仕方無いのですが。
……ピクチャースタイル(Nikonではピクチャーコントロール)「スタンダード」という設定でカメラが吐き出して来るJpeg画像に関してはCanon 1D-X Mk-2とNikon D5のどちらが実際に近いか?と言うと…青に関してはどちらも違うかなあ?赤はCanonかな?いや、彩度高すぎか?…まあ、Rawで撮影するなりピクチャースタイル(Nikonではピクチャーコントロール)をカスタマイズすればどうにでもなるレベルの僅かな違いの話ではありますが、それぞれのメーカーの色作り考え方の一端がわかるところではないかと思います。
あと、細かい所ですがファインダーの見え方はCanon 1D-X Mk-2に軸足を置いた場合、Nikon D5のファインダーはわずかに青味がかって見えます。Nikon D5に軸足を置いた場合Canon 1D-X Mk-2のファインダーはわずかにアンバー気味に見えます。どちらに軸足を置くかによって見方は変わるので、どちらがどうとは言えません。
また、シャッターボタンやAFスタートボタンのバネというか反発力もNikon D5は軽くて好感が持てました。Canon 1D-X Mk-2はバネの反発力が強すぎると感じます。使っていくうちにバネもへたってきますが、NIkon D5はどうだろう? へたりというかバネの反発力はあまり変化して欲しくないのだが。
少し感覚的な話ですがNikon D5のシャッターはCanon 1D-X Mk-2に比べて静かで滑らかに感じます。機械精度の高さを感じる、とでも言おうか、実に気持ち良い。ミラーのショックもあまり気にならない。
対してCanon 1D-X Mk-2はシャッターを切るとカメラを握っている手に反動が感じられます。連写すると結構な連続ショックがあって、ブレちゃうんじゃなかろうかと心配になる。上がりを見るとそんな事はないのですが。
…さらに言うと、昔からCanonのシャッター音はおもちゃっぽかったし、1D Mk-4なんてガシャガシャと云う濁音の混じった嫌な音がした。知り合いはあの音が嫌で1D Mk-4を使わない、リズムが狂う、何て言っていました。1D-Xではだいぶ軽やかな音になって1D Mk-4を使わないと言っていた人もこれは良いと言って使っていたが、1D-X Mk-2はどうだろう?私はあまり好感が持てない。
NikonとCanonを使い比べていつも思う所だが、使っている私の方にCanon流?の取り方が染み付いているのか、Nikon ではピント合焦率の「歩留まり」が今ひとつ上がらないように感じます。AFの測距点はどうしたら良いのかも決めきれない。周りのNikonユーザーにあれこれ聞いてみると測距点は1点で撮影している、という人が最も多く(5人)、たまに4点(グループ測距?)にする(2人)、25点で撮影している(1人)と言った内訳だった。私はNikon D3、D3S、D4、D4Sと試用させてもらっているが、いずれも測距点が1点ではピントの「歩留まり」というか合焦率があがらなかった。普段のCanonでも測距点を1点にする事はあまりないので、1点測距に慣れていないせいかもしれない。Nikonを使う時、測距点を増やして撮影に臨んでも、イマイチ歩留まりが悪い。やはり私がNikonのAFをうまく使いこなせていない、という事だろうか。
Nikonユーザーの多くが測距点1点で撮影しているという事は、何かしら1点測距に則した「やり方」というか「使い方」があるのかもしれない。でも25点測距の人がピント合焦率が悪いかと言えばそんな事も無い。もうこれはNikon、Canon、1点測距、多点測距、どれがどうという事よりも、使う側がそれぞれのカメラに合わせて撮り方を変えたり、設定を自分に合うように追い込んで行く事によってカメラの性能を引き出せるかどうか、つまりユーザーの「使いこなし方」にかかってくるところではないかと思います。仕事レベルで使うという事では今回(も)私はNikonのAFを使いこなせなかった、という事ですね。
…精進します。
二大メーカーのレポートを興味深く拝見致しました。
わたしはNikonユーザーですが、普段、比較はしない(出来ない?)ので読み応えがありました。
先月、ニューカーを購入したので時間を作り撮ってみようかと考えております。
ただ、ボディカラーがホワイトなので難しそうです。
…Nikonから新しいカメラが出る度に気になって試用させてもらってますが、D5は素晴らしいカメラですね。機械として、道具としての「良いもの感」あります。